それぞれの人が健康に働ける職場は、会社や従業員の双方にとってかけがえのないものです。
「人」が健康であり続けるには「日ごろの生活」「仕事」「家庭環境」がともに良好であるのが欠かせません。
しかし、これらを本人の努力だけで良好にキープするのは、なかなか難しいことです。
企業が従業員や家族の健康に働きかけるには、定期健康診断業務の他に、健保組合や人事労務部門が企画される各種の啓発や健康キャンペーンなど、
多くの事業がありますが、対象となるターゲットをシナリオに沿って絞り込み、またマッチングするのは、そう簡単ではありません。 サリューテ2では、一般的な各種の健診データを統合的に確認・情報交換する機能に加えて、 健保組合や医療職の皆様が行なう「健康を維持する指導」をアシストいたします。 ここでは、このサリューテ2を利用して導入いただいた健保様が実際に行った 保健業務や人事労務の指導イベントなどについて概要をご案内します。 それぞれアクションの元になった「ひとこと」をコーナータイトルとしました。 |
概要: BMIは、肥満傾向の指標として利用されることが多いのですが、この数値自身は身長と体重のバランスを算定するもので、 既定の数値に満たない場合は、「やせすぎ」という体格の推定ができます。 「やせすぎている」のは決して健康ではなくさまざまな病気への罹りやすさにも繋がるため注意が必要です。 経年のBMI変化や急激な変化などを組み合わせて、指導対象を抽出できます。 確認事項 ・BMIが18.5以下(年齢で微調整) ・肥満ではない方が、前年比較で体重が減少傾向(5%以上の変動) 成長期を過ぎると身長が大きく変わらない分、体重の増減によってBMI値が変化します。 肥満傾向の方がダイエットでより低いBMIになるのは良いことで、努力の証と言えますが 本人が意図しないBMIの変動には、何らかの体調不良や生活の不安定などの要因が考えられます。 |
![]() 全社員に対しての低BMI対象者(例) 約13%が「やせ」「やせすぎ」 利用項目と操作: ・身長、体重、BMI 複数年での動きから抽出。急激な変化をチェック ・アルブミン、HDL、LDLコレステロール、TG、ヘモグロビンの前年比較 体重以外にも確認項目として、アルブミン、コレステロール、ヘモグロビンの前年比較 極端な数値の変動は、何らかの異変の可能性を示唆するものです。HDL、LDLからは、血管の固さという事象よりも 事象より慢性の高血圧や糖尿病などが隠れていないかを見る必要があります。 女性の生理に関係なくヘモグロビンが低い場合は、貧血の原因として、鉄欠乏などの栄養障害や 出血を伴う内蔵疾患、また造血不全などを疑います。逆に高い場合(多血症)には、疾患の他にストレスや脱水などの要因も考えられます。 アルブミンについては、基本タンパク量と示しますので、低めの数値でも注意が必要です。 体重減少がこれらの要因と関連しているか、面談などでの判断が必要で、ケースによっては受診勧奨、 さらには就業制限といった対応が必要なことがあります。 それぞれの項目について、単純に数値が正常範囲をオーバーするなどのわかりやすい検索も可能ですが、 複数の条件を組み合わせて、各項目がギリギリでクリアしている対象者も抽出できます。 対応と実施: 美容や健康を意識した「食べない」と、何かの都合で「食べられない」をきちんと分けて対応する必要があります。 メンタルヘルスが多く影響することもあり、「食べられない」は心理的な原因や、さらには経済的、過剰な労働環境など様々な要因によって起こります。 特に若年層の男性の「やせ」には注意が必要です。 いずれも、早期の発見と適切な指導が望まれます。 「指導」よりも「相談」で、本人の「痩せ」を意識してもらうような方向ですすめます。 直接の面談で確認をしていただくことが必要かもしれません。 |
2017年、フランスでBMIが18.5に達しないモデルがショーへの参加を禁止する法律ができました。 これまで厳しい減量を続けてきたモデル達に、自然な体型を取り戻してから仕事に復帰させると同時に、 モデルに「やせ」を求め圧力を掛けてきた業界全体に反省と自重を求めるのが目的です。 この数値は、WHOの指針 健康なBMI18.5~25.0に沿ったもので、 「キレイ=やせすぎ」を若年層などで美化させない考えに基づくもののようです。BMIは身長と体重の比率なので、比較的身長が低い日本人の場合、BMIが低いことは体重もかなり軽いことになります。 日本では特に、出産年齢の女性において低BMIのケースが多く見られます。 「やせている」女性が明らかに賞賛される社会ですが、結婚や子育てを決意したら、 体格と体力とのバランスを考え「やせすぎ」は避ける事を強くお勧めします。 直接的な関連性はわかりませんが、低BMI状態(低栄養)の妊娠において、不妊や流産、妊娠中期以降は早産や低体重出産など、 母子それぞれのトラブルが報告されています。 太りすぎない程度にBMIをキープして、安全に幸せな家庭を作ってください。 もちろん、父親になる方も十分な協力が必要です。 パートナーに「やせ」を求めていませんか? 参考)AFP BBNews 2017/05/07 https://www.afpbb.com/articles/-/3127415 |
概要: 喫煙は血圧や循環器、呼吸器系の疾患の引き金となります。喫煙により、心理的なストレス軽減などの一時的なベネフィットがあるとされますが、最終的に身体には大きな負の影響を及ぼします。最近は電子タバコなどの新しい喫煙方法も増えていますが、喫煙行為自体のリスクは同等です。 利用項目と操作: ・問診での喫煙に関する情報 ・呼吸器に関連する項目の前年比較(COPD向け) データ確認事項 喫煙習慣は長い期間にわたることが多く、現状を血圧や肺活量などで判断することは難しいと思われます。 また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの判断には、1秒率など呼吸器専門外来での検査が必要となり、 それ以外の項目からでは、選択的な抽出は簡単ではありません。 喫煙が必ずしも呼吸器の罹患をもたらすとは限りませんが、影響することは確かで、禁煙をすすめることは大切な指導です。 対応と実施: 対象者を絞り込み、問診内容に合わせた個別の禁煙指導や禁煙プログラムへの案内を行なうことが現実的なアプローチになります。多くの事業所では 禁煙エリアも増え、社会気運も禁煙に向かいつつありますが、電子タバコなど新たな喫煙が、規制の隙間に入り込んていて、 禁煙席でも電子タバコOKなど(No smorking ,vape OK)も多くなり、禁煙をさらに難しくしています。 そもそも、禁煙とは、ニコチンからの離脱です。単純に禁ずる指導ではなく、何かのリワード(ごほうび)の提供や 飴やガムなどの口腔菓子などの提案など、本人の意識に変化をもたらすキッカケなどを、会社全体で企画し、実施することなどが望まれます。 |
喫煙者に対して禁煙をすすめるのは、なかなか難しいものがあります。 「食事やひと仕事終えた後」など、この一服に満たされる体験から、本人はデメリットを理解しながらも 「ストレスの解消になる」「まだまだ健康だ」「その気になればいつでも止められるから」などと、 さまざまな理由を付けて吸い続けます。 心配する周囲の声に耳を傾ける方は決して多くなく、ましてや副流煙の害を声高に論じるのは逆効果となるケースがほとんどです。 Aさんは、人間ドックの検査で大腸がんが見つかりました。 残念ながら早期発見ではなかったので、内視鏡では不十分となり開腹手術を受けることになりました。 術前検査を終え、スケジュールを組む段階になったAさんですが、 麻酔科の医師から「喫煙者には、全身麻酔ができない」と言われてしまったのです。 「喫煙は、肺や気管の機能を弱らせ、術中も喀痰が多くなるので、医療事故になりかねない。 禁煙をして数週間してからでないと、リスクが大きな全身麻酔はできない。」 という説明を受けました。 麻酔無しや局所麻酔で手術ができる訳もなく、大腸がんの進行も気になるところに、いままで避けてきた禁煙。 Aさんは、一念発起して、1ヵ月間の禁煙と呼吸訓練で、無事に手術を受けることができました。 心配だったガンも、転移直前ギリギリの状態で取りきれたとの話。 がん手術でなくても、交通事故などで大ケガをしたら、同じように全身麻酔が必要ですから、決して他人事ではありません。 ある程度の年齢になったら治療に備えて禁煙することも大事な事のようです。 なお、電子タバコも紙巻タバコもと大した差は無く、どちらもリスクは同じとのこと。 参考)日本麻酔科学会HP よくある術前合併症 タバコを吸っているけど大丈夫? https://anesth.or.jp/users/common/preoperative_complications/31 |
概要: サリューテ2では、健診結果をもとに、保健指導会社の提案するプログラム条件に従って、瞬時に対象者の割り振りができます。 複数の項目が引っかかるなど、多少の複雑さがあっても細かく判断をしますので、より最適なコースを選べます。 また、実施状況に関しては、保健指導会社からは毎月の清算と実施報告を受け取り、個人ごとに記録をいつでも閲覧できます。 利用項目と操作: ・健診結果判定時の割り振りコースの記録 ・保健指導会社からの月次報告(コストを含む) ・複数年単位での実施記録 データ確認事項 自動で割り振られた保健指導コースについては、委託を行なうかどうかの判断が必要です。 本人への確認の前に、過去に似たようなコースを終了した、もしくは途中で離脱した履歴がわかるため、 より効果的な、もしくは無理なく継続できるコースの提案が可能になります。 また、脱退の理由を確認することで、本人の意識の問題で済ませず、職場の都合などの原因がわかり、 いろいろな改善に向けての可能性が見えてきます。 対応と実施: 医療職からの丁寧な連絡などが望まれます。社内通知などの多数を対象とするものから、電話や面談など個別の対応まで、 確実な実施に繋がるためには、面倒で大変な作業ですが、健保や各所医療職の皆様に期待が掛かります。 途中でリタイアしたとしても、社内医療職による指導内容を継続するなどで継続させ、実質的な改善が見込めます。 保健指導結果の進捗確認 (※サンプルデータはダミーです。) |
概要: これらの検査は肝機能の評価に用いられますが、評価機関によって基準値に幅があるため、一律の基準は存在しないようです。 AST、ALTは、喫煙や過度の飲酒などによって肝臓の解毒作用が鈍ると高くなります。 これらの数値が極端に高い場合は、肝機能に深刻な問題のある可能性が出てきます。 特にガンマGTP(γ-GT)は、体内のアルコールに反応してたくさん作られますので、飲酒に伴って値が高くなり、 逆にお酒を控えることで、ある程度は低くなる傾向にあります。 しかし、それでも下がらない場合には、何らかの不調が疑われます。 また、飲酒の習慣が無い方にも関わらず、これらの数値が高い場合にも、持病の服薬などを確認のうえで、更なる検査が必要となるケースがあります。 いずれも心配な要素がありますから、注意が必要です。 また、見落としがちですが、AST、ALTについては、極端に低い値の場合も問題があり、 単なるビタミンB群の不足だけでなく過労などの要因が考えられます。 利用項目と操作: ・ガンマGTP、AST、ALTの数値 ・問診による飲酒傾向と服薬の状況 ・過去の記録との比較 データ確認事項: 標準値に関しては、複数の知見を元に設定することをおすすめします。一般的には低値についてのフォローが不十分なことが多いため、追加の検討が必要です。 ガンマGTPに関しては、正常であれば、一時的な高値からの回復が早く、一時的な数値だけでは判断が難しいケースがあります。 経年での比較により、平均的に数値の高いケースなどを抽出して評価します。 このように、サリューテ2を活用することで、肝機能の状態をより正確に把握し、適切な対応を行なっていただけます。 対応と実施: 酒を飲まないことは、社内外での付き合いの席では、なかなか難しいことと思われまますが、 難しさの原因は、「飲まなければ」と思うキッカケが作用していることです。 なぜ「飲まなければ、いけないのか?」の答えを見つけることで、減酒や禁酒が見えてきます。 社内関係、社外取引、自身の心、などいろいろな都合が人ぞれぞれありますが、 それらにも「飲まない」選択肢は含まれています。 指導としては、一方的に禁酒を迫るのではなく、減酒などの方法を提案する案内やイベントを企画するなどは、どうでしょうか。 各種の極端に低い数値にも気を付けてください。この場合、食生活など本人だけで解決できるケースと、 過労の原因となる労務環境の改善に向けたフォローが必要となる場合があります。 |
概要: 健康診断は多くの場合、「~が悪い」「~が高い」など、何かとネガティブな結果に一喜一憂しがちなイメージがありますが、 その一方で、健康に自信があって毎年の健康診断が楽しみという方も、意外に多いようです。 健康診断の結果が正常であることはすばらしいことであり、そのような方々を積極的に褒めて、健康を維持してもらうことは、 重症者のケアと同じぐらい大切です。 利用項目と操作: ・保険証システムの適用情報から作成した人物マスタ ・過去数年分の健診結果と社内判定の結果、および差分計算 データ確認事項: 複数年(入社後年数などは調整)にわたり、サリューテ2の判定などで優良と分類された方を抽出します。 確認対象と複数項目にするなど、広く健康優良を見つけること、加齢の条件も加味して、判断をすることで、 より誉めるべき対象者が見つかります。 対応と実施: 褒める方法として、ゲーム性を持たせた競争やプレゼントなどの具体的なものが励みになり効果的です。 しかし、健康数値は他人と比較してランキングを付けるのではなく、昨年の結果と比較するなど、過去対現在など 自己完結した良し悪しの評価が良いと思われます。 改善方法などは意識が高くなることで、ちょっとしたヒントでも大きな効果を引き出すことがあります。 ![]() 過去の自分と現在を比較した通知サンプル |
概要: 40歳以上の従業員とその家族(主に配偶者)は特定健診の対象となりますが、家族の受診率はあまり高くはありません。 家族、特に妻の健康問題は、結果的に従業員の家庭に大きな負担をもたらします。そうならないよう、予防のための健診を提案します。 健保組合の適用情報をマスタのメインに据えるサリューテ2では、ご家族宛の手紙や連絡を、過去の受診状況に応じて直接発行することができます。 全くの未受診者を重点的に、アプローチしていきます。 さらに、家族の受診、女性従業員を含めた「婦人科項目」の受診もピンポイントで案内することができます。 ドックの婦人科項目でも十分に初期段階の異常値を見つけることができ、早期発見・早期治療を目指します。 利用項目と操作: ・保険証システムの適用情報から作成した人物マスタ ・過去数年分の健診結果 ・従業員を含め婦人科検診受診の有無を健診結果で突合 データ確認事項: マスタから年齢で抽出し、受診の有無を判断します。家族関係とプライバシーに配慮し、家族への通知に関しては会社経由ではなく郵便を利用します。 「健診結果がない」ことの抽出は、マスタを元に作成した扶養者リストで行います。 ただし、この話は、家庭内の事情に入り込むことも多く、丁寧な対応が必要です。 マスタ上の前妻後妻および子供の所属など、毎月更新するサリューテ2では、できるだけ最新の情報をもとに通知を行う機能があります。 対応と実施: 案内通知で健診のベネフィットをアピールし、婦人科項目については、社員も含めて性別と年齢から抽出して案内を送付します。 個別通知もよいのですが、ご夫婦で受診をすることを推奨する案内なども効果があります。 申込を含めた案内は、健診実施会社など共に工夫をすることで受診率を上げることもも可能です。 ![]() ![]() ご家族への受診と婦人科受診の案内通知(例) |
概要: 判定結果から、重症や未病を見つけ、受診勧奨を出しても、医療機関に行ってくれないのでは意味がありません。 医師から紹介状(情報提供書)の返事があれば確実ですが、本人からの報告では、十分な状況把握や対応が難しいことがあります。 受診勧奨の発行後に、「実際に医者に行ったのか?」と疑問が残るケースも無きにしもあらずです。 このため、受診勧奨記録とレセプト記録を照合し、適切な診療科で受診をしたかを確認します。 利用項目と操作: ・問診、既往、治療中の病名を把握 ・レセプトから直近2ヵ月以内の受診記録を確認 ・調剤のレセプトから疾病にあった薬が処方されているか確認 データ確認事項: レセプトデータは医師によって病名表現が異なる場合が多いため、対象者の正確な病名把握などは医療職に行っていただく必要があります。 定期通院などについては、最大2か月分の調剤レセプトを把握することで、定期処方か否かの判断ができ、適切な通院治療を受けているかを確認できます。 また、レセプトデータに気になる疾病名が含まれている場合は、注意喚起記録にも記載して、検索対象として インデックスを付けておきます。レセプトの記録から病名が確定した日付などもメモしておきます。 対応と実施: 薬に関しては、レセプトにある疾病名、処方された薬の適用など、かなりの知識が必要になりますが、明らかに間違った受診などに ついては、電話や面談などで直接、お話をしたほうが良いと思われます。 通院に関してのデータ処理は自動化が難しい場合も多いため、医療職の判断に依存する部分が大きいですが、 自動化できる範囲でのサポート機能を活用できます。サリューテ2の今後の課題の部分です。 |
サリューテ2システムは、「健康に不安のある社員」を健保組合、会社人事部、医療職で共同で
サポートするためのツールです。 それだけではなく、これらの活用事例のように、組織の分析、データマイニングや抽出を可能にし、 ピンポイントで無駄のない事業を進めるお手伝いができます。 健診結果をデータ素材として活用することで、「やるべき」何かを是非見つけてください。 今後も、新しい活用事例をご紹介していきます。 |